スタッフのスキル
テストを実施するには、スタッフのスキルが重要になります。
テストマネージャは、スキルが適切に混在するように、チームメンバの人員を選別します。
個人のスキル
ソフトウェアテストのための個人のスキルは、さまざまな作業領域における経験、教育、トレーニングを通じて獲得できます。
具体的な内容を以下に記載します。
- ソフトウェアシステムの利用
- ドメインまたはビジネスに関する知識
- ソフトウェア開発プロセスの知識
- ソフトウェアの活動
スキルにはマネージメントスキルとテクニカルスキル(ハードスキル)と対人関係スキル(ソフトスキル)にわかれます。
テクニカルスキル(ハードスキル)には以下があります。
- 要件ドキュメントからのテストケースの抽出
- テクニカルドキュメント(要件、コードなど)のレビュー
- 明確で分かりやすく、目的に沿った形式でのレビューコメントの記述
- 特定のシナリオでのさまざまなテスト技法の適用
- 故障の評価と正確な記録
- 欠陥分類情報の理解度の明示
- 欠陥の根本原因の理解度の明示
- 正常系テストと異常系テストを含む、特定のAPIのテスト
- SQLを使用したデータベース情報の検索および変更
- 複数のテストを実行してテスト結果を収集するテスト自動化ハーネスの設計
- 自動化したテストの実行と故障のトラブルシューティング
- テスト計画、テスト仕様の記述
- テスト結果のアセスメントを含むテストサマリレポートの記述
対人関係スキル(ソフトスキル)には以下があります。
- スケジュールが遅れているテストプロジェクトに関する情報の提示
- 欠陥がないと思っている開発者への欠陥レポートの説明
- 同僚のトレーニング
- 効果的でないプロセスに関する問題のマネジメント層への提示
- 同僚が作成したテストケースのレビューとコメントの提示
- 同僚のインタビュー
- 開発者の称賛
テストチームは、個々の所有スキルの種類と経験度合がばらついて混在している方が、潜在している欠陥を発見しやすくなります。
スキルアセスメントスプレッドシートを作成して、5段階評価のリスト作成して可視化します。
スキル分類 | スキル | Aさん | Bさん | Cさん |
---|---|---|---|---|
マネージメントスキル | プロジェクトマネージメント | 5 | 2 | 3 |
ピアコーチング | 4 | 3 | 2 | |
レポーティング | 5 | 2 | 4 | |
テクニカルスキル | SQL | 2 | 4 | 5 |
テスト自動化 | 3 | 4 | 5 | |
パフォーマンステスト | 1 | 4 | 2 | |
セキュリティテスト | 2 | 4 | 4 | |
APIテスト | 3 | 5 | 3 | |
ソフトスキル | スピーキング | 4 | 4 | 2 |
ライティング | 5 | 2 | 3 | |
学習能力 | 2 | 4 | 4 |
各個人のトレーニングとして、外部トレーニング受講、eラーニング、クロストレーニング(スキル保有者と組んでタスク実行)、本やインターネットによる自己学習があります。
テストチームの力学
テストチームのメンバーを選択するのは重要です。
参画メンバーが互いのスキルを補完したり、性格が合うようバランスよく選びます。
テスト現場では厳しいプレッシャーがあるため、そういった環境にも対応できる人を選ぶことが必要です。このプレッシャーは、開発スケジュールの逼迫やステークホルダーからの高い期待によるものです。
組織内におけるテストの適合
独立したテストチームは質の高いプロダクト作りに大きく貢献できます。
以下に独立性を最も低い「1」から独立性が最も高い「6」を順に記載します。
独立したテスト担当者がいない
開発担当者はテストも兼務し、欠陥が見逃されるリスクが高いが改修されるまでのスピードは速い
コードを書いた開発者とは、別の開発者が実施
どちらも同じチームの開発メンバで、コードを書いた開発者よりは独立性が少し高くなる
開発チームに属するテスト担当者が実施
テスト担当だがチームが同じため、開発チームの影響を受けやすく、開発側によってしまう
同じ会社の別チームのメンバーがテスト
テスト担当者は客観的なテストやレポートを行えて、開発チームの影響を受けづらく品質の評価に繋がる
外部のテスト専門家にテストを委託
専門領域外の不具合は見逃されるリスクが高い
テストをすべて外部組織が実施
品質の監査、背景や目的の伝達不足、コミュニケーション不足が発生するリスクが高い
モチベーション
テストマネージャーは、テスト担当者のモチベーションを保つ必要があります。
モチベーションを良くする方法に以下があります。
- 達成した仕事に対する評価
- マネジメント層から認められる
- チーム内や同僚からの経緯
- 責任と自己裁量の増加
- 成し遂げた仕事に対する適切な報酬
モチベーションを悪くする方法に以下があります。
- 不可能な納期のプロジェクトでテスト担当者が懸命に取り組む
- テスト担当者が最大限努力しても、品質の劣るプロダクトが早期に出荷される
- テスト担当者の貢献が理解・評価されない
テストマネージャーは適切なメトリクスを追跡し、優れた仕事を証明する必要があります。
コミュニケーション
テストマネージャーはコミュニケーションについても理解する必要があります。
手段や重要性など以下に記載します。
-
テストチームのコミュニケーション手段
テストプロダクトの文書化(テスト戦略、テスト計画、テストケース、テストサマリレポート、欠陥レポートなど)
レビュー済みドキュメントのフィードバック(要件、機能仕様、ユースケース、コンポーネントテストのドキュメントなど)
情報の収集と拡散(開発者、他のテストチームメンバー、マネジメント層などとのやりとり) -
効果的なコミュニケーションの重要性
専門的、客観的、効果的なコミュニケーションが必要
外交性や客観性を持った建設的なフィードバックの重要性
テスト目的の達成とプロダクトの品質向上に注力 -
テストマネージャの役割
広範囲のステークホルダーとのコミュニケーション
対象に応じた効果的なコミュニケーション
プレゼンテーションでの明確で理解しやすい情報提示
品質と品質プロセスを促進するためのプレゼンテーションの機会活用 -
コミュニケーションの方向
外向き(部門外部とのコミュニケーション)
内向き(テストグループ内のコミュニケーション)
上向き(マネジメント層へのコミュニケーション)
下向き(マネジメント層からのコミュニケーション) -
多様なコミュニケーション手段の活用
電子メール、口頭のやりとり、公式・非公式のミーティング、レポート、欠陥マネジメントツール、書面など
緊急時でも品質と内容を担保すること
書面によるコミュニケーションの重要性